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最近の住宅ローンがヤバすぎる(後編) ~借りやすくなったローンに潜むリスクたち~

 

前回から2回にわけて最近の住宅ローンのヤバすぎる現状についてお話しています。

今回は後編です。

前編を読まれていない方はよろしければ下記の記事からご覧ください。

 

michorin.com

 

前回は最近の住宅事情の実態と借りやすくなった住宅ローンについてお話しました。

今回はそんな借りやすくなった住宅ローンが社会情勢の変化によって危険なものになるかもしれないということについてお話したいと思います。

 

「みんな同じように借りてるんだから大丈夫!」

 

いえいえ、全然大丈夫じゃないんです!

では借りやすくなった多額のローンにどんなリスクがあるのか見ていきましょう!

 

 

多額のローンが負担になる

 

 

【人生の大半をローン返済に縛られる】

 

前回もお話したように、変動金利を中心に借入額はいまや至上最低水準です。

しかも頭金ゼロで借りられる。

そんな状況の中、物件価格は上がっていて総返済金額も高額になる。

…ということは、そもそもの借入額が家計の実力以上に膨らんでしまっている可能性があるのです。

「毎月のお家賃と同じ返済額でマイホームが買えるんですよ!」

という営業トークに乗せられて金利の低い変動金利で35年という長期間ローンを組んでしまった人も多いのではないでしょうか?

 

実際、三井住友信託銀行の調査では返済期間が35年以上と回答した方が30代で41%、40代で30%もいたそうです。

ということは、繰上げ返済でもしない限り住宅ローンの返済が60代・70代になっても終わらないということになります。

この状態では転職や教育費の増額など生活費の変化にフレキシブルに対応することができませんし、そうでなくとも年金しか収入がなくなった年齢になってもローン返済が終わらないのは怖いことですよね。

これも借りやすくなった住宅ローンの大きなリスクの一つとなっています。

 

 

 

 

【住宅購入時と同じ状態がいつまでも続くとは限らない】

 

住宅購入のきっかけは結婚したからとか子供が生まれて家が手狭になったからと言ったものが多いそうです。

住宅購入時は夫婦共働きで世帯収入もそこそこあり、子供も小さいので教育費もそれほどかからないものです。

しかしその状態を基準にして多額の住宅ローンを組んでしまうと将来夫婦どちらかが仕事を失うことになったり、子供が成長して教育費が予想以上にかかることになった時に家計がひっ迫してしまいます

 

ここでひとつのデータを紹介します。

小学生以下の子供を持つ親へのアンケートで、大学の学費は親が用意したいと回答した人は約9割だったそうです。

しかし現状を見ると奨学金を受けて大学に通っている学生は約5割にものぼっています。

つまり、時系列的なギャップがあるにせよ子供を大学に通わせるだけの学費を思うように貯められず、不本意ながら奨学金を利用して子供を大学に通わせているご家庭が意外と多く存在するのです。

大学の学費は何年後に必要になるか計算しやすいので簡単に資金計画を立てられるイベントの代表格です。

それなのにこれだけの人が奨学金を利用しているということは、それだけ未来の予測を立ててお金を管理運用するのは難しいということなのです。

 

住宅ローンとは長い付き合いになるだけに様々なリスクを想定して余裕を持って組むべきだと思います。

 

 

 

 

【住宅ローン控除の改悪にも注意!】

 

住宅ローン控除とは、年末時点の住宅ローンの残高の1%が所得税などから控除されるというもので、税金の負担が軽くなり住宅購入の後押しをする制度となっています。

現行ですと年間最大40万円が最長10年間控除されるのでフルに利用することができれば最高で400万円もお金が戻ってくるんですよね!

 

しかしその有難い制度にもいよいよメスが入ることになります。

前回お話したとおり、現在変動金利型や10年固定型の金利は1%を切っています。

この状態で住宅ローン減税1%を受けることになるとローン返済額よりも住宅ローン控除額のほうが大きくなり、借りてるほうがお得というおかしな事態になってしまいます。

この状態を「逆ザヤ」というのですが、この逆ザヤが起こっているためにローンの繰り上げ返済もすすまないし、本来の実力に見合わない多額のローンを組む温床となってしまっているのです。

 

このため住宅ローン減税については今年税制改正で見直しが検討されるとのことです。

住宅ローン控除自体がなくなることはないと思いますが、逆ザヤにならないような改正

、例えばローン金利が0.6%ならそれ以下の減税になるような措置は取られるのではないでしょうか。

そうなると年末調整で戻ってくる控除額がかなり減ってしまうので、場合によっては家計に大きくかかわることにもなりそうです。

 

 

 

 

【世界情勢の変化が家計を直撃する可能性がある】

 

これまで変動金利はそう簡単に変わらないものと言われてきました。

景気が良くなれば金利があがるが、日本の景気は簡単に良くならないので変動金利が上がることはないだろうと言われてきていたのです。

しかしその当たり前と思われてきたトレンドが、もしかすると今年あたりから変わりそうな気配になってきています。

 

というのは、今年になって米国がインフレ抑制のために金利の引き上げを3回~4回、場合によっては6回以上も行うと明言しているのです。

そのほかに欧州も複数回の利上げを検討しているし、イギリスは各国に先駆けてこの間すでに利上げを決行しました。

しかし日本はご存じのとおり超~低金利です。

 

世界各国の金利が上がれば相対的にお金は金利の低いほうから高いほうに流れていくので日本円の価値が下がってしまいます。

日本円の価値が下がれば物価高になってしまいます。

日本は特に生活必需品のほとんどを輸入に頼っている輸入大国なので、物価があがれば国民の生活費が圧迫されて生活困難者が激増することになってしまいます。

これを抑えるためには日本も金利を上げる必要があるのです。

 

しかしもし政策金利があがればそれに伴い住宅ローンの変動金利も上がってしまいます

日本は1000兆円にも上る多額の負債を抱えているので金利を上げることは簡単にできないと言われていますが、もし物価が恐ろしく上昇してしまい国民に深刻なダメージを与えることにでもなれば金利を引き上げざるを得なくなります。

 

未来のことはだれにもわからないので、本当にそんな事態になるかどうかはわかりません。

しかし物価高で生活費が激増するリスクと住宅ローンの変動金利が上がるリスク、どちらの面から見ても今年以降の経済の情勢には目が離せない状態となっていると言えるでしょう。

 

 

 

 

【頭金ゼロで住宅を購入するリスクとは】

 

前回お話したように頭金ゼロで住宅ローンを組む人は現在3割近くもいます。

その背景にはここ数年続いている超低金利時代というものがありますが、ひとたび金利が上昇すれば多額のローンに金利がかかることになるので返済額が跳ね上がり住宅ローン破綻を生むことになってしまいます。

こういったリスクを考えるとやはり少なくとも借入額の2割くらいは頭金を入れる総借入額は年収の5倍以内に抑えるなどしたほうが良いのではないかと思います。

 

 

 

 

【金融機関の気になる動き】

 

最近の住宅ローンの約款を見ると、金融機関によってはちょっと気になる文言を入れているところがあります。

それは

「金融情勢の変化やその他の事由が発生した場合は金利の種類に関わらず借入金利を相当の範囲で変更できるものとする」

といった感じの内容です。

 

要するに

「何らかの金融情勢の変化があった場合は

固定金利であっても金利を変更することがありますよ

という意味なのです。

最近は約款の中にこういった文言を入れる金融機関が増えているようなのですが、なんなんでしょうね。

ハイパーインフレでも想定しているんでしょうか?

 

もしこのような万が一の事態が気になるならフラット35を利用するようにしましょう。

フラット35は上記のような通常の住宅ローンとは異なり借入れ金利が途中で上がるようなことはないので安心です。

 

 

 

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…というわけで、前回から2回にわたってこれから変化するであろう住宅ローンの新常識についてお話してみました。

今回はちょっと怖い話になってしまったかもしれませんが、世の中はどうやら思いのほか良くない方向に進んでいるように感じます。

こんなご時世で後先を考えずに多額のローンを長期間に渡って組んでしまうのは相当大きなギャンブルと言わざるを得ません。

住宅ローンは必ず身の丈に合った額で、どんな状況の変化にもきちんと対応できるだけの範囲にとどめるように気を付けてください!

 

あまり怖がらせてばかりだと良くない発信になってしまうかもしれませんが、自分の身を守れるのは自分だけです。

後々後悔することのないよう大きな買い物は慎重に行うように、そして経済情勢の変化には極力敏感になるように気を付けてくださいね!

ではでは~!!