株式や為替の取引で初心者さんが陥りがちなのが「塩漬けの保有」です。
よく塩漬けになった株などを
「これは長期投資にするから株価が上がるまでこのままでいいんだ!」
などと言う人がいますが、長期投資と塩漬けには最初から明確な違いがあります。
今回は長期投資と塩漬けの違い、塩漬け株を持たないための考え方について語ってみますね。
【長期投資の特徴】
長期投資は資金を投じる前から長期的な計画を立てて行うものです。
計画をたてるのですからもちろん全体的な予算も最初から決まっています。
長期投資は長期的にみて右肩上がりの成長企業に対して行うのが基本です。
企業の成長に対して「時間」という資産を投じるのが長期投資の大きな特徴なのです。
時には成長を見込んだ企業でも判断を誤って株価が下落することもあります。
しかし予定している損切ラインを割り込まないうちは、含み損があっても塩漬けとは言わないと思います。
長期目線で成長が見込める企業であれば、損切ラインを割り込まないうちはまた株価が回復する可能性があるからです。
逆に損切りするべき時期を逸して漫然と保有し続けている株は長期投資のつもりで取ったポジションでも「塩漬け状態」になっていると言えるでしょう。
【塩漬けの特徴】
塩漬けとは株式等にエントリーしたものの、想定外の悪い値動きによって損切りのタイミングを失いポジション決済ができなくなったものを指します。
塩漬けになった株の多くはもともと長期で運用する予定ではなかったため、株価が下落しても追加で買い増しする資金を用意していない場合が多いです。
また投資先の企業は長期で見ると必ずしも右肩上がりで成長していない可能性があるのも塩漬け株の特徴です。
もともと短期トレードが目的だったのですから長期目線で企業選定を行っていないので当然と言えば当然ですね。
塩漬けになった株に投じている資金は完全なムダ金ですから、長期で成長が見込める企業でない限り極力早いうちに清算するべきというのが私の考え方です。
【長期投資でも結果的に塩漬けになることがある】
株をむやみに塩漬けにしないためにも投資する前にきちんと出口戦略を考えておくことが大切です。
長期投資でエントリーした株でも予め「〇〇%落ちたら損切りする」とラインを設定しておき、「判断を誤ったな」「予想に反して成長が見込めそうにないな」と見極めた場合には思い切って損切りする勇気が必要です。
先ほども言ったように、長期投資は右肩上がりで成長が見込める企業に対して行うものです。
長期投資のつもりでエントリーしたからと言って成長の可能性が低い会社にいつまでも投資を続けていたら、無駄に長い期間に渡って貴重な資金を拘束してしまうことになります。
【配当金や株主優待目的の塩漬け放置はアリなのか】
よく日本株を持っている方で
「株主優待や配当金が良いから含み損の拡大は無視していいんだよ!」
と言う人もいますが、それこそ会社が株主に仕掛ける甘い餌です。
業績が堅調な銘柄なら安心ですが、中には業績不振のため大量リストラなどによって無理やり高配当を維持している銘柄などもあるので注意が必要です。
また米国株などと違って日本株の配当金は業績が悪ければ簡単に減配や無配になります。
株主優待も企業側の一存でいきなり廃止や改悪されることがあるので何年も保有していても一向にパフォーマンスが良くならない可能性もあります。
成長しない企業の塩漬け株ならなおさらそういった憂き目を見る可能性が高いです。
そもそも成長しない企業にいつまでも投資を続けるくらいならさっさと負けを認めて損切りするべきなのです。そのほうが自分の投資スキルも上がります。
そして別のもっと成長が見込める企業に投資し直したほうが遥かにパフォーマンスがよくなるし、ポートフォリオも安定したものになるでしょう。
【買い増しとナンピンの違い】
長期で投資する場合予め予算を分割しておき、株価が下がったタイミングごとに分散して追加投資することを「買い増し」といいます。
これは長期投資におけるリスク回避の考え方で、読みが外れて株価が下がった場合に備えて一度に予算全額を投資しないようにしているのです。
予め決めた予算を分割して投資するのでこれは計画的な投資と言えます。
これによく似た行為で「ナンピン買い」があります。
ナンピン買いも株価が下がった時に行う行為ですが、こちらは予め決めた予算の範囲を超えて買付を行うものです。
もともと一回の購入だけで終わるはずだったのに、株価が下がったために平均購入単価を下げる目的で資金を余計に投入して追加購入するので計画的な投資ではありません。
そのため、結果的に当初の予定を超えて大金を投じることになってしまうとても危険な行為です。
「買い増し」と「ナンピン買い」には明確な違いがありますので混同しないように!
無計画なナンピン買いだけは絶対にやってはいけません!
【すでに塩漬けを抱えている場合】
「そんなこと言ってももうすでに塩漬け株を持っちゃってるんだけど!」
そんな場合の出口戦略について解決策を考えてみました。
あくまでも「私ならこうする」という個人的な考え方なので参考程度にして最終的な判断は自己責任でお願いしますね。
含み損が軽微な場合
傷口がまだ浅いなら早めに損切りして別の成長株に再投資しましょう。
しつこいようですが、投資ではお金と同時に時間も投資しているという意識がとても大切です。
含み損が軽微なうちに損切りすれば手元にまとまったキャッシュが残るので別の株にエントリーし直す余力があるし、さらなる損失拡大のリスクを回避することができます。
含み損が拡大してしまっている場合
この場合は、何も対策を打たずに自暴自棄になって損切りしてしまうと大きな損失を被ってしまうので、他の投資で大きな儲けが出たタイミングで儲けと相殺する形で損切りするのがいいかもしれません。
配当金や運用益が大きく出た年に含み損を抱えているポジションを一部または全額相殺すれば、結果的に利益が小さくなるので税金対策に利用することができますね!
今回は長期投資と塩漬けの違いや株を塩漬けにしないための考え方について、私なりの意見をご紹介しました。
塩漬け株を持っていると精神的にも穏やかでいられないものです。
特に日本株はこの先の成長に難のある会社が多いので、あまりたくさん長期保有するのはちょっと怖いかなぁと思うのが私の見解です。
とはいえ、投資は自己責任です。
ご自身で納得のいくまでよく考えたうえで、どのようなスタイルで投資をするか決めるのがよいでしょう!
ではでは~!!